千曲会100周年記念事業|旧千曲会館とは
旧千曲会館とは
信州大学繊維学部の前身、上田蚕糸専門学校は明治43年(1910)に開校しました。大正4年(1915)に上田蚕糸専門学校同窓会が誕生しましたが、同窓生が集う場所がありませんでした。そこで、昭和10年(1935)、母校創立25周年記念事業の一つとして建設された同窓会館(旧千曲会館)は、講堂の裏手に、同窓生の寄付などにより建築され、同窓生の集まりの場となっていました。上田蚕糸専門学校の本館は現在焼失してありませんが、同時期の建築物として講堂(昭和4年、現存)とならび、大正・昭和初期の建築様式を残し、信州のこの頃のアカデミアの建築物と同様の特徴を持っています。木造2階建てで、和洋混在の内装となっており、迎賓のために縁側や庭もある、ユニークな建物でした。
昭和55年(1980)に、キャンパス内敷地の同窓会利用の是非論から、同窓会の今後の発展を考え、キャンパス外に母校創立70周年記念事業の一つとして同窓生寄付により新千曲会館が竣工されました。旧千曲会館は、床屋、教職員の組合事務所などで一部利用を継続しましたが、その後、建屋の老朽化が進んだため、いつしか利用しなくなってしまいました。 現在は、信州大学の管理のもと、建物が放置されておりました。
改修の概要
同窓会館(旧千曲会館)は同窓会ボランティアによる周辺の樹木の剪定などを行っておりましたが、築80年となり、建屋の老朽化が激しくなっています。繊維学部同窓会100周年を機に長く同窓生の拠り所であった旧千曲会館を改修保存し、永く文化財としてその価値を残し役立てるため、下記のような内容で大学と協議し、進めました。
旧千曲会館の改修目的と活用・利用の提案
- ①改修目的:会館は築80年の歴史的建造物として建築様式やデザインなど文化遺産としての価値があり,改修・保存して活用する。
- ②活用・利用の提案:
- ・文化財として蚕都上田の観光ルートに組み入れ繊維学部をPR 。
- ・資料館として各種イベントに併せ大学・千曲会の資料の展示公開。
- ・お客様をお迎えし簡単な接待が出来るミニ迎賓館。
- ・大学、千曲会またはこれら関係者がコミュニケーションをはかる親睦スペース、会議室。
- ・大学の講堂(登録文化財)との連携
講堂を利用して行う各種行事の控え室あるいは付帯施設としての利用。映画撮影舞台など。
建屋の特徴
同窓会館(旧千曲会館)は昭和初期の建築様式で、繊維学部講堂と同じデザインを意識した建築物です。
特徴
外観:全体が講堂と同じ色彩を持ち、直線的な屋根を持つ構造です。正面は洋風な趣と車寄せがあり、雨天時にも濡れずに玄関に入れるようになっています。裏は純和風で外観であり、縁側から庭に出られるようになっています。庭は池を中心にいくつかの石と樹木が配置され、季節を楽しめるようになっています。